「絵本玩具」の塗料 of 「絵本玩具」研究所 ヤマドリ工房

「絵本玩具」の塗装

絵本玩具の塗料

  • 私が使っている塗料は、トールペイント用の、「デルタ セラムコート」(アメリカ製)という水性アクリル塗料です。色の種類が豊富なのと、ホームセンターでも扱っている利便性で、選んでます。平凡な製品ですが、そのぶん扱い易いです。 絵画用のアクリル塗料でも問題ないでしょうが、混色の手間がかかり、色の再現も難しいです。 
  • 水性アクリル塗料であっても、もしも原料の顔料のどれかに、わずかでも毒性があれば、全く安全とは云えません。メーカー側で、どのような顔料が、どのくらい使われているか、などという事は私には解りません。ですから、何でも口に入れてしまう乳幼児に対して、私からは安全である事を、保証出来ませんし、有害であるとも、言い切れません。それでも玩具に色を塗る以上は、赤ちゃん(乳幼児)向けの製品は、「絵本玩具」としては作りません。 
  • 石油系溶剤の、油性塗料も宜しかろうと思いますが、「絵本玩具」の塗料としては、扱いにくいかと思います。それより、近年は玩具にこれを用いる事は、子供の健康配慮上、敬遠される風潮があります。石油系溶剤自体は、確かに有害で、むしろ使用者側の健康被害が深刻です。充分な安全上の設備(換気設備と防毒マスク、火気厳禁)が、必要になります。
  • 植物系の油性塗料は、雑貨や家具などの、屋内製品でも、良く使われてますし、木製玩具の塗料にも、幼児への健康上の安全基準を満たした製品が、使われているようです。 使用側の取り扱いも、石油系に比べれば簡単です。ただし、あくまでも仕上げ塗料であって、絵画用塗料ではありませんから、絵を描くようには、塗れませんし、色の種類も限られますので、私の「絵本玩具」では、今の所、使用してません。
  • また、たとえ食用油であっても、古く酸化した油は身体に良いとは云えず、故に植物由来の安全基準適合塗料仕上げでも、敢えて積極的に、子供に舐めさせて良いという意味ではないと、私は思ってます。

絵本玩具の仕上げ剤

  • 色塗装、組み立て後に、最終的に仕上げ塗装をします。これには、化粧用品で扱われている、ミネラルオイルを、使用してます。目的は、木材と塗装表面の保護と、ある程度の艶だし、撥水効果の為です。着色面に塗るオイルとしては、ミネラルオイルが一番しっくりきます。 
  • ミネラルオイルは、ベビーオイルや化粧用クレンジング、肌クリーム、木製食器の仕上げ用に使われていて、無色無臭、身体への安全性に関しては、比較的良好であると、思います。赤ちゃんの肌に塗ったり、食器に使われたりする点では、植物系油性塗料よりも更に、害は少ないように思います。ただし、原料が石油の精製品でありますから、その点を気にされる方には、納得しづらいかもしれませんね。
  • また、乾燥して皮膜を作る事が無い為、無垢の木肌感が保たれますが、その分、触った後に、オイル成分が指に残る感じがしますし、作ってすぐの頃は、ツルツル滑ります。月日と共に、湿った感触は減っていき、同時に艶も減りますが、オイル成分が完全に、揮発する事は無いでしょうから、長所でも短所でもある、オイル感は、長期に渡って、残ると思います。

塗料の安全性

  • 先の説明でも書きましたが、全ての塗料の安全性について、一個人として保証する事は、難しいです。水性アクリル塗料は、基本的には、毒性の少ない比較的安全な塗料と考えてますが、原料毎に対する身体の反応と、何よりも認識の仕方は、個人毎に違いますから、何とも言い切れません。
  • 私の場合、一度塗った塗装面は、仕上げ前に、研磨布で磨いて、余分な塗料を削り落としますから、残った塗料は木肌に、薄く密着した状態ですので、剥がれ落ちる事はありませんが、余程強くこすれば色移りなどは、するでしょう。
  • 仕上げのミネラルオイルも、その安全性は各人の判断に、お任せするしかありません。
  • 植物由来のオイルであっても、全く人体に良い訳ではないと私は思いますが、これも程度の問題かと思います。突き詰めすぎると、制作者側は何も作れなくなってしまいます。
  • 無塗装や、植物性オイルの選択が、安全の絶対条件と考えるならば、私が作る玩具はそこから外れます。
  • 幼児の場合は基本的に、玩具に限らず、無闇に物を口に入れないように、注意喚起と躾を行う事を、お勧めします。その上で、安全性の有無をご判断下さいませ。

絵本玩具の色

  • 木製玩具としての色彩で云えば、私自身は艶の少ない、中間色を主体とした配色が好みです。淡い色使いには、どこか母性的な優しさを感じます。
  • 日本製の木製玩具は、対象が乳幼児向けの物が多いせいか、口に含んだ場合の、塗料の有害性を配慮して、無着色の物が多いのですが、その反面、日本でも人気のある、独逸製の玩具は、原色に近い着色が施されてあって、両極端ですね。
  • 乳幼児〜幼児期に限って云えば、玩具の色は原色のほうが、識別、反応し易くて、良いのかもしれませんが、さて、どうなんでしょうか。
  • 私も、娘が生まれた時に、独逸製の木製玩具を買いました。定番の、紐のついたアヒルの車です。 全体にドブ漬け塗装で、着色されてます。ドブ漬け塗装は、製品をまとめて、塗料液の中につけ込む塗装法で、厚みのある、ムラの少ない塗装が効率的に出来ます。 
  • このように着色された製品の良い所は、艶が出て汚れを落とし易く、厚い塗装膜が材を保護して経年劣化に強い、と云う点です。結局、あまり娘に遊ばれなかった、このアヒルは、今も発色が奇麗で、このまま孫の代まで、使えそうな感じです。
  • これが無塗装であれば、汚れは落としにくく、木肌の経年変化がはっきり見えてしまいます。逆に、それが良い、という場合もあり、木そのものの質感は、確かに魅力があって、下手に塗ってしまうのが惜しいと、感じる時もあります。
  • そうは云っても、私の目指すのは、「絵本玩具」ですから、始めから着色を否定する訳には、参りません。玩具としてのデザイン上の制約も、塗装で変化を付ける事で、幾らか解消されます。 
  • 色調は、艶を抑えた中間色が好みですし、木肌にも、そういった色合いのほうが、相性がいいように、感じますが、決めつけてしまうと進歩がありませんので、時には発想を変えて、色んな色調を試してみようと、思ってます。
  • 色の組み合わせも、難しいものです。あまり常識的に考えてしまうと、配色のバランスが崩れたり、かといって、突飛な配色は却って、野暮ったくなったりします。必要以上の、塗装装飾は、玩具というより、お土産の民芸品に、なりかねません。その辺の加減も、今後の研究課題です。

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